【平壌6月10日発朝鮮中央通信】国際問題評論家である金明哲氏が9日に発表した文「米国入国問題はわれわれの関心事項ではない」の全文は、次の通り。
最近、米国が国家安全に対する「脅威」になるという名目の下、19カ国の国籍者を米国入国禁止対象に指定する措置を発表した。
独善的かつ排他的で、人種差別的な米国の傲慢な行為は今、国際社会の強力な糾弾と排撃を受けている。
もちろん、任意の国家が外国人の入国を規制して統制するのは、当該国の主権的権利領域に属する。
にもかかわらず、米国の上記の措置が国際社会から非難されるのは、それが他国を差別して圧迫するための悪意的な政治的道具になっているからである。
見ものは、一角で米国の今回の入国禁止対象に朝鮮民主主義人民共和国が含まれていない事実に注目し、それが朝米対話再開の扉を開けておこうとする米政府の宥和的な対朝鮮立場を反映したものかもしれないというおかしい解釈が出ていることである。
朝米関係の過去と現在をよく知らないことからの一面的な判断としか他には見られない。
現在の米政府は、1期執権時期である2017年に朝鮮民主主義人民共和国が米国政府との協力を拒否し、情報共有の要求を満たさないという不当な理由で入国禁止対象国の名簿に含め、執権全期間それを維持した。
2期執権が始まった今年に入って、わが国を「対テロ非協力国」に再指定し、米国公民の対朝鮮旅行を全面禁止する措置の効力をまたもや延長させた。
米国の今回の入国禁止対象に朝鮮民主主義人民共和国が含まれていないのが単に、技術的理由のためなのか、それとも政治的意図によるものなのかは、米国だけが説明できる事である。
しかし、一つだけ明白な事実は、われわれが米国の入国承認いかんに全く関心がないということである。
たとえ、現在の米政府が意図的にわが国を入国禁止対象国の名簿に入れなかったとしても、われわれはそれに興味がなく、大喜びする理由もない。
朝鮮民主主義人民共和国を最も敵視する国、他民族への蔑視と人種差別が社会的風潮に固着され、あらゆる社会悪がはびこる米国は決して、わが公民の旅行目的地として歓迎されない。
先日、現在の米政府のナンバー2である副大統領がある米大学で「思想的多様性」に欠けると非難してわが国の政治体制に途方もなく言い掛かりをつける荒唐無稽な詭弁を並べ立てたのも、われわれが米国という国に拒否感を持つようにするもう一つの代表的事例である。
現在の米政府が、当事者は全く考えても、願ってもいない米国入国を許容するからといって、われわれがそれをいわゆる「プレゼント」として受け止めるだろうと考えたのなら誤算である。
米国が表で一方的に不法な規定をつくり上げてわが国をそこに入れようと入れまいと、それはわれわれの関心事ではなく、朝鮮民主主義人民共和国は過去と同様、今後も米国人のわが国の入国を歓迎しないだろうと思う。
これは、米国のあらゆる敵対的脅威から国家社会制度と人民の福祉・安泰を守り抜くための正当かつ合法的な主権的権利行使であって、悪意的意図の濃い米国の偏見的な入国禁止措置とは全く性格が違う。
われわれは、誰かの希望的観測や主観的解釈に基づいて米国の行動を評価しないであろうし、足したり引いたりせず現実をそのまま、そして自己の自主的判断をもって米国を相手取るだろう。---
www.kcna.kp (2025.06.10.)