防衛費分担金協商に映った米韓同盟の現況

【平壌10月11日発朝鮮中央通信】国際問題評論家の金明哲氏が発表した文「防衛費分担金協商に映った米韓同盟の現況」の全文は、次の通り。

最近、米韓両国が今年の4月から行ってきた第12回「防衛費分担金特別協定」締結のための協商を妥結した。

それによると、韓国は今回の協定が適用される初年の2026年に、前年比8.3%増の約11億3000万ドルを負担することになり、その後4年間、消費者物価などを反映して年間引上げ率を調整することで合意したという。

米国務省スポークスマンは、米韓同盟が北東アジアとより広範なインド太平洋、その他の地域の平和と安定、繁栄を成し遂げる上で核心軸の機能を果たしてきたとおだて上げて、今回の妥結は両国にとって重要な成果であり、これを通じて同盟と共同防衛を強めるであろうと力説した。

分担金引上げ協商の早期妥結を自ら祝う主人の得意満面の表情から世人は、他国の安保を守ってやるとして巨額の資金を受け取り、豪華な海外進出を引き続き楽しめるようになった在韓米軍の満足さと、莫大な国民の血税を貢ぎながら安保を物乞いせざるを得ない哀れな植民地手先の卑屈さを今一度遺憾なく感じられるであろう。

1991年から、韓国は米軍駐屯に必要な基地建設、現地雇用労働者の賃金支払い、物流支援などの費用を負担してきたし、その後、引上げ率は漸進的な上昇推移に乗って今日の法外な金額を産出した。

しかし、餓えたライオンのように満足を知らない米国主人は「ライオンの口」を大きく開けて「在韓米軍撤収論」まで持ち出し、防衛費分担金の大幅増額を強要し出た。

以前の行政府時期に、主人が課した絶体絶命の途方もない災厄を経験した韓国の連中であるため、今回の協商の電撃的な妥結はそれでも幸いな結果であると言えよう。

しかし、2021年に締結された第11回「防衛費分担金特別協定」の効力期間が1年も残っているにもかかわらず、任期終了を前にした現米行政府が今回の協商を急いで妥結したことには、それなりの陰険な目的がある。

国際力学構図の確実な変化を促進する反米・自主勢力の急激な成長推移を自分の力だけでは防げないと自認した米国は、自分ら主導の二国間および多国間同盟を活性化する一方、新しい軍事ブロックに追随勢力を糾合するためあくせくしている。

特に、わが国と周辺諸国を牽制し、地域の覇権を維持するための長期的な戦略実現の上で、自分らに政治、経済、軍事の主権をそっくり依託しているかいらい韓国は、別に手間を掛けずに容易に利用できるまたとない「資産」なのである。

現米行政府が今回も分担金を「公正に」定めたとくどくど言ったのもやはり、韓国に対する米国の防衛公約の堅固さを刻印させ、手先を感服させて米国主導の「自由秩序」確立の先兵、突撃隊として引き続き利用しようとする陰険な企図の発現である。

韓国の連中は、自分らなりにホワイトハウスの主人が変わる前に、それでもくみしやすく見える現執権者を相手に自分の利益を最大限むさぼろうとするずる賢い打算に従って新しい分担金の合意に積極さを見せた。

しかし、意気消沈となった同盟国をあやすためにやむを得ず施した主人の不自然な雅量と手先の利己的目的が点綴した今回の合意が、韓国の安危に資すればどれほど資するかということである。

韓国を保護するという口実で、米戦略資産の出没費用と「THAAD」維持費用まで防衛費分担金に含めることを強要した前例は、アメリカ式取り引き方式の真面目をはっきり示唆している。

米国が2019年に「米韓同盟危機管理覚書」の改定を要求し、連合危機管理の範囲を「朝鮮半島の有事の際」だけでなく「米国の有事の際」に修正しようと主張した事実を見ても、米韓「防衛費分担金特別協定」に含まれている「朝鮮半島防衛に寄与する在韓米軍支援費用」も、米国のインド太平洋戦略と戦略的柔軟性強化政策に従って今後、任意の瞬間に台湾をはじめとする朝鮮半島以外の地域での任務遂行に転用される可能性を排除できない。

これは、在韓米軍維持費用に限られていた米韓の防衛費分担金が米国の覇権戦略の実現に多用途に支出される可能性があり、防衛費分担金の韓国側引上げ率も自ずときりがない上昇曲線を引くようになっていることを雄弁に物語っている。

時限を繰り上げて早めて妥結された防衛費分担金関連協商は結局、安保不安と今後あり得るさらなる費用分担の危険に震える韓国かいらいに「雅量」と「人情」を施し、忠実な番犬としてよりしっかり握り締め、莫大な費用を引き続き負担させて世界覇権戦略実現の突撃隊に利用しようとする悪の帝国の政略的打算と悪巧みの所産である。

今回の協商の妥結過程は、米国と韓国の関係がいくら「同盟」という聞きよい言葉で粉飾されても、主人と手先の従属関係、隷属と不平等関係という根本の属性にはいかなる変化もあり得ないことを示している。

ホワイトハウスの主人が変わるたびに、夫に疎まれた妻のように安保と経済はもちろん、米軍の現地駐屯費用に至るまで様々な問題によって不安に襲われる韓国かいらいの宿命的な境遇は、「最高の血盟」「真実な友邦関係」を標榜する米韓同盟の脆弱性を如実に示している。

これがまさに、相互欺瞞と各自の利己追求によって絡んでいる米韓「同盟」の現況であり、世人の公正な評価である。---

www.kcna.kp (2024.10.11.)